[Report] サミュエル マイヤー博士来日プラネタリーヘルスシンポジウを開催

第3回プラネタリーヘルスシンポジウムを開催しました。

第3回 Planetary Health Symposium

プラネタリーヘルスのフレームワークで築く人類と地球の共生社会

 

2024年11月9日(土)に広島大学IDEC国際連携機構と日本学術会議環境リスク分科会共同主催による、プラネタリーヘルスシンポジウムを開催ました。

世界でプラネタリーヘルスのフレームワークつくりに取り組んでいる、プラネタリーヘルスアライアンス創設理事長で、ジョンズホプキンスプラネタリーヘルス研究所所長・教授のサミュエル マイヤーズ博士をお招きして、激変する地球環境において人々の健康を守るためプラネタリーヘルスがどのような役割があるか、そして、今世界的な枠組みとしてどのように取り組まれているかについて、お話をいただきました。

続いて後半のパネルディスカッションでは、環境政策の3つの主要な活動「自然再興(ネイチャー・ポジティブ)」、「脱炭素(カーボンニュートラル)」、「循環型経済(サーキュラーエコノミー)」がどのように人々のウェルビーイングと健康に関連するのか。そしてこれら3つの主要な活動とプラネタリーヘルスの関係について、それぞれの分野で活動されているパネリストの皆様と共に、プラネタリーヘルスアプローチを通じて、人類と地球の共生関係を築くことについての議論が展開されました。

分野間の協力・協働は必要不可欠ですが、それを行うには、その地域に住んでいる人々の声を聴き、これまでの経験がどのように活用できるか、時間・空間スケールをどのようにそろえるかの議論の必要性や、また領域を超えた取り組みを先導できるリーダシップの必要性について議論されました。今回議論された3つの領域はプラネタリーヘルスを達成するためのパスウェイであり、これら3つのゴールとしてプラネタリーヘルスという共通目標の設定が可能で点などが提示されました。これを受けてマイヤーズ氏は、すべての人がリーダになる必要性と、共同・協働を行っていくためには、このシンポジウムのように、分野が異なる人々においてもその経験、課題、そして解決策を共有し、それを社会にレフレクションさせることが大事であり、共に考える場の構築と、そしてネットワークの重要性についてのコメントがありました。

激変する地球の健康を守ることが、我々の健康を守ることに直結します。私たちは、今地球規模で起きている課題にちゃんと目を向け、そして地球に生きている一人の人間として、この課題解決と共に私たちの健康をどのように守っていけるかを考え続けなければなりません。それには、それぞれの領域等で個別のゴールのみを目指すのではなく、その先にある「将来世代にわたった私たちの健康・ウェルビーイングを守れる人類と地球の共生社会構築」という共通目標の設定の必要性を強く感じました。今回のシンポジウムは、時間的制限もあったため、まだまだ語りつくせていない部分が多くありますが、人類と地球の共生社会構築のためには、分野を超えてさらに知見の共有と議論をしあう必要性があること、これらができる場およびフレームワーク作りの重要性が共通認識としてとりまとめられたと考えます。

報告書(日本語)

報告書(英語)


開催概要

日時:2024年11月9日(土)13:00 – 16:20
開催方法:ハイブリッド(ZOOMと会場開催)
会場:広島大学霞キャンパス 凌雲棟 (広島市南区霞1-2-3)
言語:会場言語 日本語、同時通訳(英語)
主催: 広島大学IDEC国際連携機構, 日本学術会議環境リスク分科会
共催:Planetary Health Alliance Japan HUB

プログラム

基調講演:サミュエル・マイヤーズ 教授
プラネタリーヘルスライアンス, 創設理事長 / ジョンズホプキンスプラネタリーヘルス研究所, 所長 / ジョンズホプキンス公衆衛生大学院, 教授

『プラネタリーヘルス:激変する地球で人々の健康を守る』

教育講演: 渡辺知保 教授

長崎大学プラネタリーヘルス学環前学環長
『人類生態学の視座とプラネタリーヘルスの日本での実践』

Panelists
1. 安家 叶子(Rooting Our Own Tomorrows (ROOTs) 代表、国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J))
『次世代に残せる地球のために:生物多様性とプラネタリーヘルスへの責任』
2. 増井 利彦 (国立環境研究所社会システム領域 領域長)
『脱炭素社会の実現に向けた取組と課題』
3. 藤原 章正 (広島大学 IDEC国際連携機構 PHIS 教授)
『スマートモビリティ・プラットフォームをベースとした健康に歳を重ねる都市』
4. 宇野 真樹 (博士課程1年)& 長命 洋佑 (准教授)/(広島大学大学院 統合生命科学研究科 食料資源経済学研究室)
『食の地域循環』
5. 橋爪 真弘 (東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学 教授)
『熱波とエアコン使用:エネルギー需要の増加と健康適応の課題』

詳細なプログラム等は以下、プラネタリーヘルスアライアンスWEBサイトをご覧ください。

(PHAJ)(終了)サミュエル マイヤー博士来日:シンポジウム 広島 11月9日